Tuesday, April 22, 2008

回想

書店にて、中央線ジャズのことを書いてある本を手にとってみた。
自分が参加しているde-ga-showなどの音源が、紹介されていた。
それで、自分の過去をぼんやりと思い出してみた。

ただ夢中というか、必死で弾いてきた。
音楽・・ミュージシャンという、得体の知れない世界でやっていけるのか?
何も保証や確証など皆無だった。
自分という訳の解らないものの正体を知りたかった。
まあ、自分探しだったのかもしれなかった。
でも、それでも自分の一番好きな音楽というもので(それしかなかったのだが)、自分が何処まで行けるのか?
それが知りたかったというのが、動機と言えばそうなのかもしれない。

自分の好きな音楽。
ちゃちなステレオセットで文字通り爆音・フルボリュームで聴いていた。
好きな曲・・今、思い起こせば「好きな曲」っていうのは、自分がガーン!と理由も無く衝撃を受けるポイントがあるもの・・というのだろうか?
それはイントロからあるものもあれば、時間を掛けてそこに到達するものでもあった。
聴いていたのは、所謂洋楽であったから、歌詞の内容とかは二の次三の次。
ただ、ヴォーカルは声質には、好みがはっきりとあった。

まあ、ヴォーカルはねえ・・
自分のことを考えれば、落ち込んでしまうが。

今まで何回も同じ事を書いているとは思うが、今一度思い起こせば、それこそ4・5歳でのロックンロールの爆音体験と長兄からの影響でのロック・ジャズの体験が、今に至る発火点だと思う。
そして脳裏の奥深く刻まれたものとして、ジミヘン、そしてエレクトリックに移行したマイルスバンドであったのだと思う。
ジミとマイルスの印象とは、それぞれ「バンドオブジプシーズ」と「ライヴイーヴル」のLPジャケットの異様なムード・・印象にある色彩は、黒・赤・そして抜けるような青(ビッチズブリュゥ)なのだが、異様であり、妖しくもあり、知ってはイケナイ・踏み込んではイケナイ危険な領域のような印象だった。
マイルス・ライヴイーヴルの音の印象は、強烈な演奏というものであったのだが、ショックに思ったのは、(アガルタ録音の前であったと思うが)マイルスバンドのテレヴィのライヴを目撃したことだった。
確か中学生のころであったかな?
ジミヘンみたいだなあー!っと思った。
そう、長いインプロ・アドリヴというものは、ジミやクリームの演奏をレコードで聴いていたから抵抗は無かった。
4ビートの所謂ジャズの存在は知っていたが、それ程魅力を感じていなかった。
だからマイルスの後のアガルタバンドには、驚きだった。
「なんだ!ロックみたいじゃん!カッコイイ!」
テレヴィのスピーカーからカセットテレコに録音して、結構気に入って聴いてたりしていた。

バンドにしても曲にしても、ある一瞬の煌きというのであろうか?
レコードに刻まれたその瞬間が、あるか?無いか?が自分の判断だったのだろう。
それは、今でも同じだ。
それを感じられれば、そこから音楽を聴いていった。
そして、その一瞬に至る意味というのだろうか?それを感じるのが、何より楽しかった。

多分、その感覚は、知ってしまったら二度と抜けられない・・そういう妖しさ・快楽なんだろう。

幼少の頃のロックンロール爆音体験の事を今でも鮮やかに覚えている。
最初に受けた衝撃的な快楽を求めて、何回も何回も繰り返し聴きまくった。
それこそ音とセックスをしてしまった初体験なのかもしれない。
やがて時を経てギターを手にしてまもなく、友達とのセッションにて、それに似た快楽を体験する。
自分から放出する快感。
こいつにまたしてもヤラレタ。
そして自分の出したいギターの音が欲するものは、大きなデカイ音のビートだと思い知る。
当時、やたらとデカイ音で叩く友達のドラマーの出現で、そうでないと自分はイケナイと確信してしまった。
ドンドンとイケナイ体質になっていっていたんだね。
更にオールマンズのダブルドラムスでの、ウネリまくる快感を知る。

そして、自分の音楽を初めて形にした「EATJUNK」は、その具現化のファーストステップだった。
その原型となったデモをシーケンサーに、複数の打楽器がビートを形成する断片をこれでもかと打ち込んだ。
それもステップではなく、リアルタイムで打ち込み、それを多少補正するというやり方だったので、人間臭いノリというか揺れがビートにあった。

今から思えば、やりたかったこととは、そのビート等の組み合わせの成せる微妙なマジックを探していたと言える。
そのマジックの断片を探し当てた時は、言い表すことが出来ないほどの狂喜乱舞だった。
「これだ!これこそが俺が求めていたものだ!これが俺なんだ!」
そう世界中に叫びたかった。

マジック。
妖しさを孕んだ・妖艶なビートマジック。
そこで極太の伸びやかなギターを弾きたかったんだ。

そしてミュージシャンと共に生み出せるか?否か?の一瞬のエクスタシーを更に欲している。

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