Wednesday, October 20, 2010

ジミ・ヘンドリクス「天国のギタリスト」プラスα

以前、インタビューをした記事が、10月20日にシンコーミュージックから「天国のギタリスト」というムック本にて発売された。

その中の殆どが、ジミ・ヘンドリクスの記事でもあり、そのジミについてインタビューされたという訳。

その記事にて、あらためて読み返して思うことがあり、補足という訳でもないが、言い足りなかったことを記したいと思った。

ジミとマイルスとの関係というか、その部分でのこと。

勿論、自分自身が熱心なジミ研究家というほどのモノではないので、あくまでも自分の想像でしかない。



マイルスが、ジミに対して「ギターであれだけブルーズが出来るのが解った。」と言ったらしい。(マイルス語録から)
ここで言うブルーズとは、音楽の形式でいう「ブルース」ではない。

ムック本では、心とか魂・ソウルと表現するしかなかったが、更に突っ込んで考えてみた。

ブルーズとは、あえて言うならば「生命力」「トランス」に通づるもの?
それは、何かを破壊してしまうような強力なエネルギーを発する元でもあり、深い慈愛?そういうものを孕んでいるもの・・というか?

マイルスが言おうとしたブルーズとは、俺のようなものには到底理解不能な「そういうもの」という感じがしてならない。
そして彼等の共通言語のような?もの。

彼等だけが、以心伝心出来るもの・・・。

だからマイルス曰く「白人のギタリストはセンターが無い」なのだろうと勝手に思っている。

ジミは、そのエネルギーを持っていた。
そして、テクニックなどに邪魔されないブッ飛ぶエネルギー要素を多分に持っていたことを一瞬でマイルスは見抜いたのだろう。

相当に深い部分でのシンパシーが、あったのではないかと想像する。

エレクトリックという武器。

彼等の深い欲求としての、例えばDNA・大地・そして宇宙と直接コンタクトを取れる強力なブツが必要だった。

それがエレクトリック(による音の強力な増幅・可変等)であった。

そして、そのエレクトリックと強力な呪術性を孕み放出出来るビートが必要だったのではないか?

マイルスは、強力な呪術性を孕むビートには、アイディアを持っていたに違いない。
そして、エレクトリックで音を自在に変化(へんげ)出来うる・また音そのものに強力な呪術性を孕んだ妖艶なジミのギターが欲しかったのではないだろうか?

ウッドストックコンサート当時、ジミもそのビートに対しての欲求が起こったのではないかとも思える。
それは、ウッドストックの数日前に北アフリカのモロッコへお忍びで旅をしていたということから推測される。
モロッコといえば、自分は未だそんなに詳しくは無いのだが、グナワなどの強力な土着のトランスビートがある。グナワだけではないかもしれない。アフリカの複数の打楽器からなるトランシーな呪術性にジミも注目したのではないか?と思われるのだ。

だからの、ウッドストックでの布陣だったのではないか?
そしてサウンドを構築していく過程において、バンドのパーカッション奏者曰く「ジミには、明らかにアフリカでの受けた刺激の要素を音楽にぶち込もうとしていた」とするインタビューがあったに記憶する。
曰く「アコースティックギターとパーカッションで初めはやっていた。それはとても素晴らしいものだった。そしてエレクトリックに移行した」と。
だが、バンドは上手くいかなかった。
多分、人間の組み合わせとして、また更に音のスペースのとり方に問題があったのであろうか?
それは、後日のドラマーのミッチ・ミッチェル曰く「複数の打楽器と演奏するには、難しいものがあった」とする言葉から想像出来る。

自分の経験から思うに、複数の打楽器&ベース等と合わせるときには、上手くいく場合は、ビートが凄く広くなる。それこそ大地のような感触ともいうのだろうか?
上手くいかない場合は、ただの音の羅列にしかならない。
そこの部分は、相当に繊細であり微妙な関係だと思う。
とにかくジミのウッドストックでのトライは、失敗に終わったのだろう。

マイルスの通称「アガルタバンド」

そこにジミは、もし存命したならば在籍というか?必ず一度は演奏したであろう。

アガルタバンドの音からは、ジミが欲しかったマイルスの音が聴こえるようでならない。