Monday, June 15, 2009

その男「AZUMI」

彼は、シンガー・ギタリストだ。
俺が、言うまでも無いことだが。

大抵、いつも何処かの街で、彼が言うところの「勝手に来て、勝手に帰っていく」ライヴをしている。

そして、奴の唄は、とても「しみる唄」だ。


先日、AZUMI君の演奏を聴きに行った。

彼は、ROIKI君(デルタブルーズ弾き語りの猛者でもあり、去年から一緒にユニットとして活動を始めた)からの紹介であった。

俺は、かれこれ10年以上前のことか?AZUMI君の名前が気になっていた。
雑誌等で「オルタナとかガレージブルーズとか言われておったなぁ」と、ちょっと照れくさそうにAZUMI君自身が言っていたが、そんな感じでの紹介のされ方だったと思う。
また印象深かったのが、当時の彼の写真だった。

自分の記憶も定かではないので、あやふやな印象でしかないから、間違っていたら申し訳ない。

その当時の彼・・・確かモジャモジャのアフロヘアのような髪の毛の間から覗く、鋭く光る眼光が印象に残った。

「こいつは何者だ?」っという感じ・・モチロン只者ではない、そんな印象を持ったものだった。

それから雑誌等で書かれていたこと・・・まあ乱暴な言い方だったと思う。

ボーダーレスというか、高度なテクニックを駆使しつつ、ノイズやアバンギャルドなアプローチ・・みたいにも書かれていたかもしれない。

凄い奴がいるんだ・・

そんな感触を持った。

そして、いつしか会ってみたい・・・と思っていた。

二年前の大阪での「春一番コンサート」に出演出来た時に、彼の演奏を運良く観ることが出来た。

エレキギター2つとドラムという編成のバンドで、ベースラインやらコードのアプローチやらソロやら唄・・と、忙しいというか?良く出来るなあ!と感心してしまった。

それから時が経って、去年にROIKI君が、「あー、AZUMIだったら知ってるよ。」と。

それでAZUMI君が、彼の演奏ツアーで東京に来ている時に会うことが出来た。

その時は、「昔の写真の印象とは、ちょっと違うなあ・・」と思ったのだが・・・

そして、今年のROIKI君との大阪ツアーにも、AZUMI 君に随分とお世話になった。
その大阪ツアーの最終日の演奏終了後、AZUMI君と飲み明かしてしまったりもした。

一ヶ月ちょっとでの再会。

彼、AZUMI君の演奏を堪能した。

演奏の内容を細かく分析したり評したりするなんて、出来ない。

AZUMIという「何か・存在?」が表したいもの・・・・噴出させたいものが、ギターの、その尋常ではないテクニック・独特なヴォーカル・ありとあらゆる手段(己の息遣いさえも)を忠実な僕(しもべ)として駆使し、一寸の隙も無く・・というのか?

そしてAZUMIの世界・・・というものが、聴衆を容赦なく無抵抗にさせて包み込む。

一緒に旅をするような?

彼の「気持ちの旅」をまるで映画のように傍観するような?
否、映画ほどはっきりとした距離感というものではなく、もっと・・なんというか・・
「マボロシ」というのか?

彼が感じた世界のマボロシのようなものを見ているような気分になった。

圧巻だった。

また、彼のファルセットのカスレタ瞬間の声の隙間とか、ギターの音・弦振動が減衰して消えていく瞬間に、リアルな「彼自身」が?そこに居るようにも感じたりした。

かつてROIKI君は、AZUMI君を評して

「ホンマモンの流れ者だよ。そういう唄・・だなあ」と。

合点。


演奏終了後、例によって飲んだ。

ああだぁこうだぁと、話が進み
お開きとなっての別れ際。

「今日は、アリガトウ」と言う彼の目は、

いつぞやの写真で見た、あの光を帯びた「眼」そのもの。

そして奴が、取りあえず落ち着ける棲家であろう・・・夜の街に

吸い込まれるように消えていった。


まるでマボロシのように。

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