Monday, June 14, 2010

ワールドカップ初戦にて ニホンのスタイル

兎に角、FIFAランキング45位の日本代表が、インテルでプレーする世界的プレイヤー、エトーがいるカメルーンに1-0で勝利した。

これまで自分が思っていたことをズバリ書いてくれているスポーツライター相沢光一氏の記事があった。

http://diamond.jp/articles/-/8437


カメルーン戦で1勝をあげられた戦い方でもって、ようやくワールドカップにて試合が出来る末席に入れたかもしれないという感触を持った。

サッカー日本代表の試合・・もう40年近くに亘ってナンダカンダと見てきたが、必ずと言っていいほどに何処かに「不安」を感じていた。
競技場にて観戦出来ないのは残念なのだが、TV中継観戦の良さとしては、ゲームを広い視野にて見られることだ。
今まで必ず抱いた「不安」。そして「苛立ち」。

その「不安」が、カメルーン戦にて不思議にも感じられなかった!
それは何だったのか?を考えた。


「堅実的な守備」

守備なのだ。
それも押し込められて守り一辺倒でヒイコラ凌ぐとは違う、いつでも攻撃へ向かえる視線を外さない堅実的な守備。
相手の猛攻を必ず潰して次の攻撃へのシフトが可能な守備。
システムがどうの、フォーメーション云々ではない守備力。
全員守備で泥臭いだとかつまらないとか美しくないとか・・いろいろ揶揄されるであろうが、先ずは手に入れるべきは、この守備であったと思う。

それからこの守備で必ず必要とされるのが、ポジショニングとエリアに対する認識と責任であろう。
突っ込んでくる攻撃に対して複数人数=分厚い守備で徹底して潰す。そして直ぐに体制を戻す。
体制を戻すに当たっては、次へ繋がる突っ込み=攻撃する気持ちを絶対必要とする。
それは、幅広い視野を各々の選手が持ちえて初めて可能となるものだ。
素早い縦方向へ突破・もしくは逆サイドに振る勇気。
それは高度なエリア感覚を必ず持たなければ出来ないものだ。
その最重要な感覚をもしかしたら手に入れることに成功したのかもしれない。
だから不安感は感じなかったのかもしれない。

今までの数十年に亘る代表チーム・特に日韓合同開催W杯以降の代表チームは、何故か「黄金の中盤」という勘違いをしていたと思う。
中盤での無駄でしかない・パスと呼べない・簡単にインターセプトされるボール回し。
それを「ゲームを創る」とか「中盤を支配」とかエライ勘違いをしていたと思っている。
ダラダラと無駄なボール回しをポゼッション率どうのこうのに摩り替えて都合のいいように考えて勘違いしていたと思っている。
実際は、当たりの弱さ・ボールに対するセンスの無さ・個人技の劣勢・気持ちの弱さ・総じて言うところの「個の弱さ」から来る、単純な「アイディアの無さ」だった。
それを飲み込んで租借し打開出来得る方法としての「集団的守備」が必要だった。
絶対に負けない強い気持ちと高度なエリア感覚を持たないと実現出来ない、集団的守備が必要だったのだ。

その雛型が、カメルーン戦で出現したかもしれない。



時間が掛かった。確かに。
それは、必然でもある。
世界でやっていける強い個・選手の、それも複数の登場が無ければ不可能なことだ。

それは至極当然なこと。
ワールドカップ出場国チームの殆どが、ヨーロッパを始めとするサッカー先進国リーグで活躍している選手が主体だからだ。

バンドにも言えることなのだが、上手いミュージシャンをただ集めただけでは、ケミストリーというか?何かは生まれない。人間の組み合わせという事が、もの凄く重要だ。
サッカーチームにおいても、このこと=人間の組み合わせという事が当てはまるのであろう。
生き物だということなのであろうか?不思議な事だ。
だが、それが面白い。



思えば過去のW杯出場国で印象深かったのは、記憶が定かではないのだが、確かアイルランドもしくはスコットランドだったか?
それほど有名な選手がいた訳では無かったが、粘り強い試合運びが、強烈に印象に残っている。
しつこいまでの徹底した全員守備。そして飽くなき勝利への渇望からくるカウンター。
素晴らしいチームだったに思う。


日本代表というか、ニホンのチームの目指すべき姿は、黄金の中盤・華麗なパスワークで・・という幻想を捨て、泥臭くも粘り強い試合運びが出来るチームであるように思う。
それこそ世界から煙たがられ嫌がれるような。


今の日本代表チームは、番狂わせと評された。
至極上等。
代表に惜しくも選考されなかった選手にも、このコンセプト下でマッチする選手はいるのだが。
選手選考、そこが代表監督の間違った大きなポイントに思う。
ナニカのカラミがそうせざるを得なかったのか?センスの無さなのか?
解らない。
言えるのは日本サッカー協会の体質によるところであろうか?責任は有る。

だが、今回のカメルーン戦での戦い方は、日本代表としての重要なヒントを初めて示した。



その意味において歴史的な試合だったと思う。

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